アルツハイマー病は、タウを含む神経原線維変化とアミロイド‐β蛋白質(Aβ)を含む細胞外アミロイド沈着の出現を伴います。
アルツハイマー病の原因として、最近ではアミロイド斑の沈着そのものではなく、脳内の可溶性細胞外オリゴマーAβ種の蓄積が原因となっている可能性があります。
プロアントシアニジンに富む食事による高齢者の認知機能改善が臨床試験でも確認されていることから、オリゴピンによるアルツハイマー病への抵抗性(予防、減弱)の有無を確認するとともに、そのメカニズムを探求しました。
オリゴピン®は低分子量Aβとタウのオリゴマー化を阻害:in vitro
SDS-page PICUPオリゴマー化試験にて、アルツハイマー病の原因とされるAβペプチド(Aβ1-40とAβ1-42)および異常タウたんぱく凝集に対するオリゴピンの影響を評価しました。
細胞毒性はダイマー(二量体)、トリマー(三量体)、テトラマー(四量体)になるにつれて増加しますが、オリゴピン添加により、Aβ1-40、Aβ1-42のどちらも4量体以上のオリゴマーは形成されず、さらにオリゴピンを4倍量摂取した場合は3量体の生成も阻害することを確認しました。
また、 タウたんぱくについても、オリゴピン添加によりオリゴマー化を阻害することを確認しました。さらに、オリゴピン類似物質と比較しても、凝集の生成を阻害しました。
オリゴピンの投与により、Aβ1-40およびAβ1-42のオリゴマー化を低下させるとともに、タウのミスフォールディングを阻害することから、アルツハイマー病の予防に有益な効果を発揮する新たな機序が示唆されます。
血漿中薬物動態によりオリゴピン代謝物を確認(ラット)
8週齢の雄ラット(n-5)に対して、オリゴピン200mg/kg/日を10日間連続投与時の血漿中の成分を高性能質量分析装置で解析を行った結果、オリゴピンの単量体であるカテキン(C)及びエピカテキン(EC)の代謝物が検出されました。
また、試験後にラットの脳から抽出した成分を解析したところ、血漿中から同定されたオリゴピン代謝物がそれぞれ検出され、血液脳関門を通過していることが分かりました。