アルツハイマー型認知症は記憶の障害とともに、時間や場所の把握や物事を順序よくできなくなる等の障害が起こり、最終的には運動機能も障害される脳の病気です。
脳内は小さく萎縮し、アミロイドβ(ベータ)タンパク質が塊となった老人斑(はん)、そして、神経線維のもつれがみられます。さらに、ニューロンとよばれる神経細胞のつながりが失われるため、認知機能の低下がみられます。
アルツハイマー型認知症は、発見から100年以上経過しているにもかかわらず、いまだに治療の決定打がありません。
さらに、認知症予備群状態とされる「MCI」患者の10~15%が毎年アルツハイマー病に進行することがわかっています。
プラズマローゲンは、認知症の発症にかかわるとされる脳内の炎症や、アミロイドβたんぱく質の蓄積を抑える、さらに、情報を伝えるはたらきのある神経細胞に栄養を与えることで神経細胞を守り、生存率を高めることがマウスや細胞試験にて確認されています。
・脳内炎症の抑制(脳内のグリア細胞※1数の比較)
脳内に炎症を起こさせたマウスにプラズマローゲンを投与したところ、
非投与マウスと比べて炎症が抑制されました。
※1 グリア細胞:炎症が起きた時に活性化される細胞
※2 LPS:炎症剤(リポポリサッカライド)
・アミロイドβの蓄積抑制(海馬に蓄積したアミロイドβ量の比較)
脳内に炎症を起こさせたマウスにプラズマローゲンを投与したところ、前頭前野と海馬において、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの蓄積が抑制されました。
(出典)Ifuku .et al., J.Neuroinflammation, 9, 197(2012)を参考に作成
神経細胞を培養している培地にプラズマローゲンを添加することにより、突起の著しい伸長が認められました。
(グラフ斜線部)
細胞長の2倍以上の突起を伸ばした細胞